Merry Christmas

天使たちの大合唱のなかで，救いのみ子としてマリヤから生まれたイエス・キリストの生涯は，苦難にみちたものであった。神の子でありながら，人を救うため，人の子として生まれたイエスは，事々に神の愛と真実を語り行ったため，民衆の信頼と愛情を一身に集めたが，当然のように，当時のユダヤ宗教家たちからは妬みと憎しみを買い，十字架につけられることになった。しかし聖書には，次のように書かれている。
キリストは，わたしたちのためにのろいとなって，わたしたちを律法ののろいからあがないだして下さった。聖書に「木にかけられる者は，すべてのろわれる」と書いてある。（ガラテヤ人への手紙 3章13節）
木，とは十字架のことで，木にかけられるというのは，神にのろわれて地獄に落ちることであった。だからユダヤ人達は，斬首・石打ち・火あぶり・鋸の寸きざみなどのローマの死刑の中でどれよりも十字架刑をおそれていた。
イエスも，それが神のご計画であると知りながらも，「もし出来ることなら十字架の刑だけは，つかずにすむようにして下さい」と祈ったことがあった。しかし，それが神のみこころであることを確信すると，「どうして，十字架につかずにおれようか」と言って自ら捕縛されて判決をうけ，刑に服した。（ゲッセマネの祈り マタイによる福音書 27章）

人間が信じようと信じまいと，神は神であり，聖であり，愛である。
神は人間の罪をゆるすことができない聖なる方であると同時に，人間の罪をゆるさずにはおれない愛なる方である。
神は人間の罪を処罰し同時にゆるすために，あらかじめ，ご自身のみ子を人としてこの世に送られた。
イエスは神でありながら，まったき人として聖い生涯を送り，全人類の罪を背負う，「あがないの小羊」として神の怒りをうけるために十字架につけられた。釘にうちつけたのはローマの兵士，命令したのは総督ピラト，そうさせたのはユダヤの宗教家たちだった。しかし，本当につけたのは，神ご自身の聖なる怒りであった。愛の身代わり，全人類の罪のゆるしのためだった。
だから，十字架上の第一声は午前9時，

であり，午後3時，神の怒りが極限に達したときの言葉は，
エリ エリ レマ サバクタニ （「どうしてこれほどまでに，お見捨てになられたのですか」という意味）
であった。イエスは，私達の身がわりとして，それほどまでに神に打たれ，苦しめられ，のろわれて下さったのである。そして「すべては完了した」といって息をひきとられた。その日のうちに敬虔な弟子達の手によって葬られたが，三日目には復活し，500人以上の弟子達の目の前で天に帰られた。イエスは今も生きておられる。イエス・キリストは十字架の業を成し終えて，父なる神のみもとに帰るために，マリヤよりお生まれになった。
それがクリスマスの意味である。